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シクラメンの花を長く楽しむ育て方。
夏越しや管理方法について。

シクラメンの花を長く楽しむ育て方。夏越しや管理方法について。

花の少ない冬の時期も、赤やピンク・白など鮮やかな色で彩りを添えてくれるシクラメン。可愛らしいハート型の葉と、ウェーブや八重咲など様々な花弁を持つ優美な姿が印象的なお花です。鉢植えは10月頃からお店に並びはじめ、年末に向けたピーク時には贈り物として購入されることも多いようです。一方で、花の時期を終えたシクラメンを「どう育てたら良いのかわからない」と悩んでいる方も多いのでは?来年も綺麗に咲かせるために、夏越しなど育て方のコツをまとめました。

野菜・花・果樹 育て方2022/06/09

シクラメンってどんなお花?

1.シクラメンの特徴と魅力について

1.シクラメンの特徴と魅力について

シクラメンは、サクラソウ科シクラメン属に属する多年草の球根植物です。原産地は地中海沿岸で、この地方では野生のブタが球根部分を食べていたことから、『雌豚のパン (sow bread)』と呼ばれていたそうです。そのためシクラメンが明治時代に日本に入ってきた時、それを直訳した『ブタノマンジュウ』という和名が付けられました。また、植物学者がこの花の姿を見て「まるで篝火(かがりび)のようだ」と発言したことから、『篝火花(かがりびばな)』という素敵な和名が追加されたと言われています。

シクラメンの魅力は何と言っても、鮮やかな花色と形の種類の多さでしょう。花色は赤・白・ピンクが主流ですが、近年では品種改良が進んだことで黄色・紫・グラデーションなどの珍しい色を持つものも増えてきました。大きな花びらは基本5枚で、下向きに反り返るようにして咲くのが特徴です。葉は濃い緑色のハート型で、細くすっと伸びた茎に、一輪ずつ花を付けていきます。

気に入った種類を見つけて購入する際は、事前に花や葉が変色していないか、病害虫の被害がないかをチェックしましょう。購入後1ヵ月程度は、肥料も十分に含まれているので肥料をやる必要はありません。それ以降は基本的なお手入れの他、季節のメンテナンスをして長くお花を楽しみましょう。

2.生育環境と基本的な育て方

2.生育環境と基本的な育て方

まずは、生育環境を確認しましょう。シクラメンは基本的に、日当たりが良くて暖かい場所を好みます。冬は10℃以上になる窓辺などに置き、夜間に寒さで凍ってしまわないよう気を配ります。暖房の効きすぎる場所(日中25℃、夜間15℃以上)や風が当たる場所は、株が弱ってしまうので注意が必要です。4月以降は風通しの良い明るい場所や、屋外の涼しい日陰に置いてあげるのがおすすめです。

注意して欲しいのは、水のやりすぎです。土の表面を触って乾いていることを確認してから、葉をめくって株元にゆっくりと水やりしましょう。直接葉や花などに水がかかってしまうと腐ってしまう原因になるので、必ず株元からあげるようにします。開花中に肥料を与えることで花を長く楽しむことができますので、肥料は1週間に1回のペースで液体肥料をあげてください。 9月~5月は施肥を続けますが、それ以外の休眠時期に肥料は必要ありません。

日々のお手入れで忘れずして欲しいのは「花がら摘み」。咲き終わった花はそのままにしておかないで、つけ根部分を指でつまんでねじりながら引き抜きましょう。終わった花を摘んでいくことで、次の花が咲きやすくなります。また枯れた葉があれば、同時に取り除きましょう。

長く楽しむためのコツ

3.葉組みや夏越し、植え替えのポイント

3.葉組みや夏越し、植え替えのポイント

購入直後は花と葉のバランスがよく見えたシクラメンも、徐々に中心部分の葉が大きくなりバランスが悪くなっていきます。そうなったら「葉組み」という作業を行います。方法は、①大きくなった中心部の葉を外に引っ張り、外側の葉に引っ掛ける、 ②蕾を中央に寄せる、というもの。これによって球根上部と小さな蕾にも日が当たるようになり、成長が促されるのです。この葉組みの作業は月1回、定期的に行うようにしましょう。

シクラメン

シクラメンを管理する上で、最も難しいのが夏の管理=夏越しです。地中海沿岸が原産地のシクラメンは、夏のジメジメした暑い環境が苦手。初心者の方は、休眠させて夏越しさせる方法が失敗しにくいのでおすすめです。5月頃から葉が枯れ休眠状態になることが多いです。6月以降は風通しの良い場所、屋外の涼しい日陰などに置いて水やりを止めます。この頃には花は無くなり葉も枯れているので、枯れた葉を根元部分から手で取り除きましょう。そのままにしておくと腐りやすくなり、病害虫が発生する要因となってしまいます。9月頃になったら、球根を触ってみてください。ブヨブヨせずに硬い感触のままなら、夏越し成功です。

夏越しを確認したら、9月上旬から中旬頃に植え替えをします。ひとまわり大きな鉢を準備して、球根の方が地上部になるように植え付けますが、この時に深植えにならないように注意が必要です。

4.病気や害虫の対策を

4.病気や害虫の対策を

梅雨の時期を迎えると、高温多湿が苦手なシクラメンは病気にかかりやすくなってしまいます。病気と害虫の発生を防ぐためには、風通しの良い場所で管理することと、水と肥料のやりすぎに注意することが重要となります。またこの時期に向けて、徐々に与える水と肥料の量を減らしていきましょう。
夏越しの期間中も、変化がないか定期的に株をチェックするようにしてください。もしも葉や株元にカビのようなものが生えたり、虫が発生していたりした場合は、症状に合った対策を取る必要があります。

シクラメン

  • アブラムシ類:吸汁害虫のアブラムシ類が付くと、植物の生育が悪くなります。気温が上がる5月~9月によく発生するので、その前に特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布しておくと、発生の予防になります。それでも出てしまった場合は、薬剤を使用して駆除しましょう。
  • ハダニ類:梅雨明けから9月頃にかけて、ハダニ類が発生しやすくなります。ハダニ類が付くと葉に白い小斑点ができ、数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えます。駆除する場合は葉の裏側まで洗い流すように勢いよく水をかけるか、多く発生している場合はハダニ類に適用のある薬剤を使用しましょう。予防として、あらかじめ特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布しておくのもおすすめです。
  • 灰色かび病:梅雨など湿度の高い時期に葉が黒くなったり、花にシミのような病斑ができたりする病気が灰色かび病です。咲き終わった花にカビが発生することがあるので、花がらは早めに摘むようにします。日当たりや風通しを良くしておくことでも予防できますが、発生してしまったら症状が出た部分を排除しましょう。もし症状が広がるようなら、できるだけ早く灰色かび病に適用のある薬剤を使用して被害の拡大を防ぎましょう。
  • うどんこ病:葉や茎に粉のような白いものが付いたら、白いカビ(糸状菌)が原因のうどんこ病かもしれません。うどんこ病は伝染するため、見つけたら早めに感染した葉を取り除いて廃棄します。発生しないように日当たりや風通しをよくしておき、予防として特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布しておくのも効果的です。

多年草のシクラメンは、しっかり育てればまた翌年も綺麗な花を付けてくれます。葉組みや夏越しなどのポイントを抑えれば、実はそれほど難しくありません。花の少ない時期にも美しく咲くシクラメンで、ガーデンライフを楽しんでくださいね。

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