お風呂場や洗面所で見かける小さなハエ。
それってチョウバエかも?

コバエ
2020/06/15
お風呂場や洗面所で見かける小さなハエ。それってチョウバエかも?

バスルームやトイレを使うときや掃除をしているときに見かける、小さなハエ。キッチンの食べ物のまわりやリビングで見かける赤茶色っぽいコバエ(ショウジョウバエ)とも何だか違うような気がするし、退治したはずなのに気付いたらまたいる…ということはありませんか?もしかしたらその虫、チョウバエかもしれません。名前は知らないけれど、見たことはあるという方も多いのではないでしょうか。知名度の割に、意外と出没率が高いチョウバエ。一年を通して出没するこの虫の生態と効果的な駆除方法について知っておきましょう。

チョウバエは、チョウでもハエでもない。
では、いったい何者?

チョウバエという名称ではあるものの蝶(チョウ)でも蝿(ハエ)でもない、この虫。英名では“moth fly(=蛾のようなハエ)“、ドイツ語では、”Schmetterlingsmücken(=チョウとガの両方の意味を含み一般的にはチョウ)“と呼ばれています。よく見ると翅にたくさんの毛が生えていて、見た目は小さな蛾にも似ていますが、蛾の仲間でもありません。2本の触角を持ち、蛹から成虫へ羽化する際に蛹の背が縦に裂ける点は、ユスリカ蚊(カ)などの虫とも共通していますが、短い口吻(こうふん)は吸血に不向きです。

それではいったい何者なのかというと…?ハエ目チョウバエ科に属する昆虫で、コバエの一種。チョウバエ科には日本だけでも約50種類いますが、その中でも一般的によく見られる代表的なものはオオチョウバエとホシチョウバエの2種類です。いずれも形態は似ていますが、その名の通り、オオチョウバエはコバエの中ではやや大型で、体色は濃いグレー。一方のホシチョウバエは約2mmと小さく、比較すると白っぽい体色をしています。サイズと体色で見分けることはできますが、いずれも主な発生場所や退治・駆除のやり方は同じです。

オオチョウバエの成虫の体長は、4~5mm前後。カラダが毛で覆われているためモコモコしており、翅の縁をよく見ると8個ずつ白い点が確認できます。フサフサした触角は16節あり、U字の感覚毛が生えていて、この感覚毛で空気の流れやニオイを感じとり、私たち人間の攻撃をかわすことも…。夜行性のため昼間はバスルームや洗面所、トイレの壁などに静止していることが多いです。

オオチョウバエの成虫 (体長4.0mm~5.0mm程度)
オオチョウバエの成虫
(体長4.0mm~5.0mm程度)

幼虫の背面には褐色の背板が並び、ナメクジを細くしたような、あるいはイモムシのような形状。幼虫の期間は約10日で、大きくなった終齢幼虫の体長は約9mmになります。幼虫は下水溝・浄化槽の汚泥中に発生しやすいので注意しましょう。幼虫は汚泥中に潜り、呼吸管を空中に出して呼吸します。そのため成虫に比べて発生していることが分かりにくいかもしれません。

オオチョウバエの幼虫 (体長9.0mm程度)
オオチョウバエの幼虫
(体長9.0mm程度)

北海道から沖縄まで日本全国に広く分布するチョウバエ。
発生が増える時期は?

アメリカやヨーロッパ、熱帯地方まで、世界各国で見られるチョウバエ。日本でも北は北海道、南は沖縄まで、広く分布しています。高温多湿を好むチョウバエが盛んに活動するのは主に夏。成虫が活発になるのは、ホシチョウバエが5~7月、オオチョウバエが8~9月です。チョウバエは暖かい場所を好むため暖房の完備している環境では1年中生息していることもめずらしくありません。

例えばオオチョウバエの場合、27℃の環境では、卵の期間が約2日、幼虫の期間が約10日、蛹で3~4日程度。成虫の寿命は2週間程度ですが、雌成虫1匹あたりの産卵数は200以上に及ぶこともあり、1年間に5~6世代を繰り返します。大量発生しやすい害虫なので、数匹だからと油断せずに早めに退治・駆除しておくことが重要です。また換気の際、窓から侵入させないように併せて注意しましょう。

窓からの侵入に注意
窓からの侵入に注意

逆さにするとハート型だけど、見たくない害虫。
チョウバエの発生源は?

見る角度によっては、ハート型に見えなくもないですが、被害は可愛らしくはありません。稀なケースではありますが、生きたチョウバエの幼虫が、消化器官や気道、泌尿生殖器等を通じて人間の体内に侵入し、ハエ症を引き起こすことも…。何より、汚泥中から湧くということもあり、チョウバエは不衛生なイメージや嫌悪感を与える害虫といえるでしょう。

角度によってはハート型に見えるチョウバエ
角度によってはハート型に見えるチョウバエ

特に注意したいのは、お風呂場やキッチンの排水まわり、トイレ等。石鹸カスや皮脂汚れ等の有機物を含んだ汚泥や排水口のぬめり・ヘドロが、チョウバエの発生源となることが多いです。成虫は夜行性のため、昼間はじっとしていて、日没後に活発になる傾向に。主に夜間活動し、外灯・電気の光に集まってくる習性があります。幼虫は日中も活動し、深夜はより活発です。

洗面台のオーバーフロー付近も注意
洗面台のオーバーフロー付近も注意

チョウバエを繁殖させないためにすべきこと。

1まずは成虫の侵入を阻止!

換気する際、網戸に穴があいていたり、隙間がないかを確認しましょう。バスルームやトイレの換気をする際はあみ戸に隙間がないかをチェック。あみ戸や窓ガラスにスプレーしておくことも効果的です。

あみ戸や窓ガラスにスプレーして予防
あみ戸や窓ガラスにスプレーして予防

2こまめな掃除で幼虫の繁殖を抑制。

お風呂場の排水まわりやトイレ、キッチンを掃除して、綺麗な状態を保ちましょう。汚泥水を溜めないようにし、発生源になりやすい、ぬめり・ヘドロも除去します。

定期的に水まわりを掃除
定期的に水まわりを掃除

3見つけたチョウバエは素早く駆除。

数匹だからと油断せず、その都度、退治することが大切。チョウバエ等のコバエが飛んでいたり、壁についているのを発見したりした場合は、コバエ駆除用のスプレーで退治し、大量発生させないようにしましょう。

発生後はコバエ駆除用スプレーで退治
発生後はコバエ駆除用スプレーで退治

チョウバエなどのコバエはサイズが小さく、わずかな隙間からも侵入できてしまうため、気付かぬうちに家の中で繁殖してしまうことも…。産卵数が多く、大量発生しやすいチョウバエは、見かけた成虫を退治してもキリがなく、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。発生前の予防と、発生初期の退治を徹底して、大繁殖させないよう注意してください。

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