まだら模様の小さい甲虫、ヒメマルカツオブシムシを見たら注意すべき事。

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2019/08/23
まだら模様の小さい甲虫、ヒメマルカツオブシムシを見たら注意すべき事。

マーガレットやデージーなどの白い花、シーツや布団などの白っぽい洗濯物によく集まってくる、ヒメマルカツオブシムシ。白と茶色のまだら模様が特徴の小さな甲虫です。人間を刺したり噛んだりすることはなく、危険な病気を媒介することもありません。けれど、この可愛らしいヒメマルカツオブシムシの、可愛くない被害にご注意ください。うっかり室内に入れてしまうと…気付いたときには大変な被害が広がってしまっているかもしれません。

ヒメマルカツオブシムシってどんな虫?
見た目・食性・発生場所…幼虫と成虫の生態はこんなに違う!

ヒメマルカツオブシムシは、鰹節(かつお節)が大好物。それが名前の由来にもなっています。鰹節は昔から縁起が良いものとされており、贈り物としても人気がありましたが、カツオブシムシ類にもまた人気があったようです。けれど、与える被害はそれだけではありません。鰹節があまり流通していない海外では絨毯や衣類によくつく害虫として有名で、発生エリアはとてもグローバル。日本でも国外でも食品害虫と衣類害虫、2つの顔を併せ持ちます。幼虫と成虫で、見た目も食性も発生場所もまったく異なるヒメマルカツオブシムシについて、画像付きで解説していきます。

カツオブシムシの大好物
カツオブシムシの大好物
ヒメマルカツオブシムシの幼虫 (体長約4~5mm)
ヒメマルカツオブシムシの幼虫
(体長約4~5mm)
ヒメマルカツオブシムシの成虫 (体長約2.5mm)
ヒメマルカツオブシムシの成虫
(体長約2.5mm)

写真提供 :(一財)日本環境衛生センター環境生物部

ヒメマルカツオブシムシの終齢幼虫の体長は4~5mmくらい。やや細長いだるま型で、短い毛で覆われています。尾には槍状毛(そうじょうもう)と呼ばれる長い毛の束を持ち、刺激を与えると、この槍のようになっている毛を広げて威嚇するので素手で触らないようにしてください。幼虫の毛に毒はありませんが、毛が刺さったアリが命を落とすくらいの鋭さがあります。幼虫の食性は幅広く、鰹節の他、煮干しなどの動物性の乾燥食品や、羊毛や絹を用いた衣類、毛皮などを食害する困った虫です。幼虫の期間は約300日。幼虫で越冬し、通常7~9回脱皮を繰り返して成長し、翌春の3~4月に蛹化します。そのため、もし幼虫の被害にあった場合は、穴があいた服の近くに抜け殻も落ちているはずです。クローゼットやタンスの中の衣類に穴をあけられないよう、防虫剤などで対策しておきましょう。

成虫の体長は2.5mmくらい。白と茶色のまだら模様が特徴の小さな甲虫です。幼虫とは違い、ヒメマルカツオブシムシの成虫のルックスはとてもキュート。成虫は服に穴をあけることはなく、これといった害もありません。成虫の栄養源となるのは花の蜜や花粉。赤や黒のはっきりした色ではなく、淡いピンクや黄色、白い花を好む傾向にあります。マーガレット、シャスターデージー、ハルジオン、ヒメジオン(ヒメジョオン)、ノースポール(クリサンセマム)などのキク科を特に好むので、それらの花を見かけたら観察してみてください。白いチューリップやコデマリ(小手毬)などキク科以外の白い花にもつきやすいです。ヒメマルカツオブシムシは、家庭菜園やガーデニングをする方にとっては意外と身近な虫かもしれません。成虫の主な出現時期は5~6月で、寿命は30~50日くらい。その間に30~70個ほどの卵を産みます。

ヒメマルカツオブシムシはどこからやってくる?
主な発生源と被害に遭いやすい時期。

白い花を栽培したり、室内に飾ったりしていないのに、なぜか家の中でヒメマルカツオブシムシを見つけてしまったという場合、お庭やベランダに干している洗濯物をとり込むときに一緒に入ってしまったのかもしれません。ヒメマルカツオブシムシの成虫は白に誘引されるため白い外壁の家にもつきやすく、布団やシーツ、バスタオルやシャツなど、白っぽい洗濯物にも集まってきやすいです。また、白いシャツやワンピースなどで外出した際に服につき、知らずに連れて帰ってしまうことも…。洗濯物をとり込む際や帰宅時は、カメムシだけでなくヒメマルカツオブシムシがついていないかも注意深く確認してから部屋に入るようにしましょう。

虫がついていないか洗濯物を確認
虫がついていないか洗濯物を確認

ヒメマルカツオブシムシの成虫を家に招き入れてしまいやすい時期は5~6月。飛翔力を持つ成虫が活発に飛び回るのは、気温が15℃以上の晴天の日。特に午前10時から午後3時の明るい時間帯によく見られます。成虫は明るい場所が好きですが、幼虫が好むのは薄暗い場所です。ガラスのようなすべすべした部分には産卵せず、薄暗い場所に保管されているふっくらした素材の洋服などの上に産卵し、成虫は再び屋外へと旅立っていきます。卵の色は乳白色で、1mm未満と小さいため、産みつけられた後に卵を探すのは難易度が高いと言えるでしょう。家の中に入れないことが大切です。

衣類害虫界の“四天王”を紹介!
ヒメマルカツオブシムシ以外に発生しやすいのは?

大切にしている洋服に穴をあけるのは、ヒメマルカツオブシムシの幼虫だけではありません。その他に発生しやすい衣類害虫の生態についても、画像付きでご紹介します。家の中、特にクローゼットの近くで見つけたら、すぐに退治・駆除しておきましょう。

  • ヒメカツオブシムシ

幼虫は体長7~10mmくらいの細長いイモムシで、成虫は体長3.5~4.5mmくらいの黒い甲虫です。ヒメマルカツオブシムシと比べると見た目はやや地味ですが、食性や被害、出現期や発生場所は、とてもよく似ています。

ヒメカツオブシムシの幼虫(体長約7~10mm)
ヒメカツオブシムシの幼虫
(体長約7~10mm)
ヒメカツオブシムシの成虫(体長約3.5~4.5mm)
ヒメカツオブシムシの成虫
(体長約3.5~4.5mm)
  • イガ

衣類に付く蛾なので「衣蛾(イガ)」と呼ばれるこの虫。幼虫は体長5~6mmくらいのイモムシで、咬み切った繊維を材料にして筒状の巣をつくり、その中に隠れながら移動します。イガはとてもグルメな衣類害虫で、動物質繊維を好み、なかでもカシミアなどの高級な素材の服が大好物。ウール素材の服とカシミアの服を同じ引き出しに保管していると、カシミアのほうに穴があいてしまうことが多いです。また、衣類に食べこぼしがあると、その部分を重点的に食害されます。成虫は体長4mm前後の小さな蛾で、体色は灰褐色や銀褐色。主な発生時期は5~9月で、産卵もこの時期に集中します。

イガの幼虫(体長約5~6mm)
イガの幼虫
(体長約5~6mm)
イガの成虫(体長約5mm)
イガの成虫
(体長約5mm)
  • コイガ

小さな衣蛾(イガ)で「コイガ」という名前と思われがちですが、実はイガよりもひとまわり大きい、同じくヒロズコガ科の蛾。幼虫の体長は6mmくらい、成虫の体長は5~7mmくらいです。雄の成虫は飛ぶことができますが、雌の成虫は飛翔力が低下していて上手に飛ぶことができません。小走りに這うような動きをする、光ったような茶色の蛾を見つけたら、産卵する前に退治してください。イガと比べると食性が広く、玄米や小麦、鰹節などの乾燥食材にも発生するので、食品の被害にも気を付けましょう。

コイガの幼虫(体長約6mm)
コイガの幼虫
(体長約6mm)
コイガの成虫(体長約5~7mm)
コイガの成虫
(体長約5~7mm)

衣類害虫の予防と対策。
幼虫と成虫でそれぞれのおすすめ駆除方法とは?

衣類害虫のおすすめ対策
  • 白い花を部屋に飾る前に虫がいないか確認
  • 洗濯物をとり込む際も注意
  • 乾燥食品は密閉容器で保存
  • 衣類をしまう前に洗濯・クリーニング
  • 衣類は10℃以下の涼しい場所で保管
  • 幼虫の対策には衣類用防虫剤を使用
  • 成虫の駆除には不快害虫用エアゾールを直接スプレー

ヒメマルカツオブシムシの可愛らしい見た目に騙されてはいけません。わずかな隙間からも侵入が可能な、カツオブシムシ類やイガ類。まずは家の中に入れないよう注意し、万が一侵入されてしまっても洋服に穴をあけられないよう防虫対策を行ってみてくださいね。

クローゼット用・引き出し用・衣装ケース用、場所に合わせて防虫対策

住環境が整ってきたこともあり、防虫に対する意識は薄れがちかもしれません。けれど、ヒメマルカツオブシムシなどをはじめとする衣類害虫の幼虫は、植物質・動物質いずれも摂取するため油断は大敵。また、冷暖房の普及により、夏も冬も過ごしやすいお部屋の中は、虫も繁殖しやすい環境になっています。大切な洋服や着物に穴があいてしまってから後悔しても遅いので、その前の対策を徹底しておきましょう。

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