ダニの仲間、「タカラダニ」「マダニ」「ツツガムシ」の違いとは?

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2018/06/01
ダニの仲間、「タカラダニ」「マダニ」「ツツガムシ」の違いとは?

「赤いダニを見た」という報告が寄せられることがありますが、おそらくそれは、室内のじゅうたんやソファによくいるヒョウヒダニ(チリダニ類)とは違う種類。なぜなら、チリダニ類は肉眼では確認できず、体色は乳白色のものが多いから。今回は“赤いダニ”と呼ばれることがあるうち3種類の虫の生態や特徴をご紹介していきます。

ダニとはどう違う?
「タカラダニ」「マダニ」「ツツガムシ」の見分け方。

この3種類の虫たちはいずれもダニの仲間です。布団やソファなど室内で増殖しやすく、肉眼では確認できないサイズのヒョウヒダニ(チリダニ類)とは異なり、基本的には屋外で生息。主に初夏から秋にかけて発生し、顕微鏡やルーペを使わなくても肉眼で確認できます。

ヤケヒョウヒダニ
ヤケヒョウヒダニ
(体長約0.2~0.4mm)

ちょこまかと素早く動きまわるのはタカラダニ。その動きが不快だという意見も多いですが、人間への実質的な害はほとんどありません。タカラダニが人を刺した報告はまだなく、3種類の中では最も危険度が低いと言えます。

タカラダニ
タカラダニ
(体長約1~2.7mm)

他の2種類に比べて大きいのがマダニ。ダニ目の中では大型の部類になります。体色は、赤色に近い褐色です。刺されると、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症する場合もある危険な虫。もし見かけても触らないようにしてください。

フタトゲチマダニ
フタトゲチマダニ
(体長約3mm)

ツツガムシにも様々な体色のものがいますが、アカツツガムシはキレイな赤色。くびれがあってボディにメリハリがあります。病原体「つつが虫病リケッチア」を保有する有毒なツツガムシもいるので、生息場所の野山に行く際にはご注意を!肌の露出がない服装でお出かけください。

アカツツガムシ
アカツツガムシ
(体長約1mm)

まずは、見た目や動き方で判別するポイントをご紹介しました。続いて、1種類ずつにフォーカスし、より深く学んでいきましょう。

謎に包まれている部分の多い「タカラダニ」。
虫の世界のミステリアスクイーン?

昔、子供たちが捕獲したセミのカラダに、キレイな宝物のような赤いダニがついていて喜んだことから「タカラダニ」と呼ばれるようになったとの言い伝えがあります。また、タカラダニがキレイな赤色をしているため昆虫のアクセサリーのようにも見え、まるで虫の「お宝」だという説も。由来は諸説あり、そんなところもミステリアスです。

種類によっても多少異なりますが、タカラダニ類の幼虫はセミ・バッタ・カミキリムシ・クモなどに寄生し、その体液を吸って栄養を摂取します。一方、成虫は壁面の苔(コケ)を食べたり、植物の葉や茎につくハダニやカイガラムシなどを捕食したりすることもあり、雑食性です。

これまでに見つかったタカラダニは、なんと…すべて雌(メス)!まだ雄(オス)が発見された例はありません。雌側の遺伝子のみを受け継ぎ、単為生殖(たんいせいしょく)を繰り返す不思議な虫。その生態はあきらかになっていない部分も多く、謎に包まれています。“ミステリアスクイーン”という異名もあながち的外れではないでしょう。

日本でよく見られる代表的な種は「カベアナタカラダニ」。壁面などによくいますが、名称内の“アナ”の由来は、壁穴の“アナ”ではなく、眼の後ろに「ウルヌラ(urnula)」と呼ばれる穴を持っているからと言われています。

カベアナタカラダニの発生のピークは4~6月。真夏でもブロック塀の壁面やコンクリートを這い回っている姿をよく目撃しますが、小さいカラダの割に暑さへの耐性があるのが特徴です。カベアナタカラダニは、花粉、小昆虫、地衣類等を摂食し、広い食性を持っています。ガーデニングをしているときに花粉を食べている赤いダニを見つけたら、カベアナタカラダニの可能性が高いかもしれません。

食いしん坊と言えば「マダニ」。
自分のカラダの何倍にもなる驚異の体質。

幼虫・若虫は発育のため、成虫は産卵のため、人間や動物を吸血します。種類によっても異なりますが、例えばフタトゲチマダニの場合、吸血前の雌(メス)の体長は3~4mm程度。吸血後はなんと…3~4倍に肥大!少しずつ大きくなり、やがて1cmを超えるサイズになる驚異の体質です。数日後にはまるで風船のように膨れてしまいます。

吸血前のマダニ
吸血前のマダニ
(約3mm)
吸血後のマダニ
吸血後のマダニ
(約10mm)

フタトゲチマダニの他にも、ヤマトマダニ、タネガタマダニ、シュルツェマダニ…など種類は様々。害虫界のキラキラネームの代表格、タカサゴキララマダニ(高砂綺羅々真蜱)という名前のマダニもいます。

マダニに吸血されても痛みが伴なわないことも多く、大きくなってから気付くことも…。焦ってすぐに取り除きたくなる気持ちは分かりますが、待ってください。吸血中のマダニを皮膚についたまま退治すると、マダニの口が皮膚の中に残ってしまう可能性があり危険です。マダニの体内の病原体を逆流させないためにも、そのまますぐに医療機関へ行くことをおすすめします。

マダニは3~4月頃から増加しはじめ、10~11月頃が本格的な活動期。秋のハイキングやキャンプの際には特に注意したい虫の1つです。冬も活動する種類も生息しているため1年を通じて油断は禁物。犬などの哺乳類にも寄生しやすいので、ペットのお散歩から帰ったら確認してあげるようにしましょう。

無毒のものと有毒のものが存在する「ツツガムシ」。
風邪だと思っていたけど、もしかして…?

ツツガムシを漢字で書くと、「恙虫」。「恙(つつが)」は「病気」や「災難」という意味があり、現在も手紙などで相手の健康を気づかい『つつがなくお過ごしでしょうか』といった挨拶が使われることがありますよね。その由来には諸説あり、ツツガムシ病が蔓延していた地方へ旅する際に「つつがなく(恙なく)旅をして」という言葉が生まれたとの説もあれば、ツツガムシの媒介する「ツツガムシ病」が流行ったからではという説も。ツツガムシが災難を呼ぶことがあるのは間違いないですが、実はそのすべてが有毒である訳ではありません。

ツツガムシの幼虫は3対、成虫は4対の脚を持ちます。成虫は体長1mmくらいで肉眼でも確認できるサイズですが、幼虫は約0.2mmで肉眼で確認することは困難。またマダニのように吸血せず、吸着後も膨れません。ツツガムシは血液ではなく体液を吸うために吸着し、刺すのは幼虫のみです。ネズミ・鳥類・爬虫類などに寄生しますが、ときには人間を刺すことも…。排出する二酸化炭素に反応して吸着することが分かっています。

アカツツガムシ幼虫
アカツツガムシ幼虫
(約0.2mm)
アカツツガムシ成虫
アカツツガムシ成虫
(約1mm)

種類により刺された際の症状は様々。痛みや痒みが伴なわないこともありますが、例えば、タテツツガムシの場合は痒みが生じたり、アカツツガムシの場合は圧迫されるような痛みが1~2週間続いたりすることもあります。ツツガムシ病の病原体「つつが虫病リケッチア」を保有する有毒なツツガムシに刺されると、肺炎や脳炎症状を引き起こすこともあり、最悪の場合は死にいたるケースもあり、とても危険です。

タカラダニマダニと比較すると見つけにくいツツガムシ。特に幼虫が発生する時期は注意が必要です。主な発生時期はアカツツガムシが夏、フトゲツツガムシやタテツツガムシは春と秋。生息場所の野山や河川に行く際は、肌の露出がないよう、長袖・長ズボンを着用し、虫よけ剤を使用してからお出かけするようにしましょう。

「タカラダニ」「マダニ」「ツツガムシ」、似ている3種類の害虫の特徴をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。それぞれの生態を学び、正しく対処をすることが大切。ガーデニングやペットのお散歩、ハイキングやキャンプなどのレジャーを安心に楽しむためにも、シーンに合わせて虫よけ剤を取り入れてみてくださいね。

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