触れたら数時間後に水ぶくれの症状?
やけど虫に御用心!

その他
2019/07/01
触れたら数時間後に水ぶくれの症状?やけど虫に御用心!

黒とオレンジの縞模様。アリのような形で、お尻が尖っている虫を見つけたことはありませんか?もし遭遇してしまっても絶対に触れないでください。肌の上にいるこの虫を潰すのも厳禁。“やけど虫(正式名称:アオバアリガタハネカクシ)”の体液に触れると、水疱(すいほう)が生じて火傷の痕ような症状になってしまうので大変危険です。触れてしまった際は早急に水で流し、症状がひどい場合は皮膚科のある医療機関へ。どんな場所に発生しやすいか、予防と駆除の方法…やけど虫について画像付きで解説!生態を学んで、もしもの時に備えておきましょう。

体は小さいけれど、触れたら火傷の痕のような水ぶくれ!
名前の由来と、やけど虫の形態と特徴について。

素手で触れると、体液が糸のように皮膚に付着し、火傷の痕のように腫れることから、やけど虫と呼ばれるこの虫。成虫だけではなく、卵、幼虫、蛹も「ペデリン」という有害物質を体内に持っています。お尻の部分が尖っていてやや上を向いているため「やけど虫に刺された」と思う方も多いですが、実際には刺されたり噛まれたりしたのではなく、「ペデリン」が含まれる体液が皮膚について炎症を起こしてしまったと考えられるでしょう。また、体液が眼に入ると激しい痛みがあり、結膜炎や角膜潰瘍などの感染症を引き起こすこともあるので注意してください。

正式名称は、アオバアリガタハネカクシといって、コウチュウ目ハネカクシ科の甲虫の仲間。上翅がやや青みがかった黒色(青翅=アオバ)で、アリによく似た形(蟻型=アリガタ)をしていて、小さな上翅の中に大きな後翅をたたみ隠している(翅隠し=ハネカクシ)という形態から、この名がつけられました。

ハネカクシ科に属するのは日本だけでも2,000種類以上いると言われており、体長は1~20mmと様々。小型の種が中心で、アオバアリガタハネカクシも体長6~7mmくらいと小さめのサイズです。体色は、頭部・後胸・尾の2節は黒色、前胸・中胸はオレンジ色。見た目の通り危険な虫ですが、見つけても慌てないでください。大きな傷痕になることを避けるためにも、素手で触ることを避け、肌の上を這っていていても潰さずに息で吹き飛ばすか、タオルやハンカチを使う等してそっと払い除けるようにしましょう。

アオバアリガタハネカクシの成虫(体長約6~7mm)
アオバアリガタハネカクシの成虫
(体長約6~7mm)

やけど虫の発生エリアは日本全国。
主な生息場所は?

アリガタハネカクシ類は一般的に有毒ですが、その多くは分布が限定的です。例えば、分布エリアが北海道や本州の中部以北で見られるオオエゾアリガタハネカクシや、分布エリアが本州の中部以西や四国で、森林の草木の葉上などで見られるアリガタハネカクシは後翅(こうし)が退化しているため飛ぶことができず、人間と接触する機会もあまりありません。そのため、日本における被害のほとんどは、北海道から沖縄まで幅広いエリアに分布するアオバアリガタハネカクシによるものとなっています。北米を除き世界各国でも発生する、意外とグローバルな虫です。

アリガタハネカクシ類は湿った土壌に生息
アリガタハネカクシ類は湿った土壌に生息

やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)は、水田や畑、池や沼、湿った草地などに生息しています。成虫と幼虫は共に雑食性で、土の中の害虫も捕食するため農業上では益虫の側面もありますが、農作業中や菜園のお世話をしているときに、うっかり触れてしまわないようご注意を。田植えや芋ほりをしているときにお子様が触ろうとしたら、とめてあげてください。

作業中は手袋の着用がおすすめ
作業中は手袋の着用がおすすめ

また、やけど虫は雑草や落葉の下などに潜んでいることも…。普段のお散歩やジョギング、ハイキングやキャンプなど夏のレジャーの際も、油断しないようにしましょう。夏になって気温が上がってくると、薄着になるため肌の露出部分が増えがちです。屋外でバーベキューやキャンプファイヤーをしたり、手持ちの花火で遊んだりするときは、火傷はもちろん、やけど虫の被害にも気を付けるといいかもしれません。

夏のレジャーでもやけど虫に注意
夏のレジャーでもやけど虫に注意

6~8月は大発生しやすいので特に注意!
家の中に入ってしまうのはなぜ?

やけど虫の成虫はほぼ1年中見られますが、主な発生時期は4月から10月。温暖で湿度の高い環境・時期を好むため、6月から8月に被害が急増します。冬になってその姿を見かけなくなるのは、畑の土の中や土手で越冬するためです。数百から数千の集団となり、成虫で越冬します。雌成虫は1匹あたり18~100個の卵を産み、早いときには3日程度で孵化。わずか2mm程度の幼虫は少しずつ成長して、終齢幼虫は3~6mmくらいの大きさになります。

夏の農作業は特に注意
夏の農作業は特に注意

基本的に屋外で生息するやけど虫が、なぜ家の中に入ってしまうのかというと、やけど虫が光に集まる習性があるためです。街灯・玄関灯などに寄ってきてドアを開閉する際に入ってしまったり、部屋の明かりに誘引されて窓から室内に侵入したりすることも…。昼も夜も窓やあみ戸に隙間がないか、確認するようにしましょう。また、夏の夜にバイクや自転車のライトに向かってきた成虫が眼に入ってしまうなどの例も報告されているため、運転する際には眼鏡の着用をおすすめします。

窓やあみ戸は隙間がないように確認
窓やあみ戸は隙間がないように確認

やけど虫に触れてしまったときの対処法。
その他の、あみ戸や玄関灯に集まる虫は?

やけど虫に触れてしまった場合は…
  • やけど虫の体液が他の箇所にうつることがないよう、水で洗い流す。
  • 数時間後、かゆみや痛みが生じた場合は皮膚科のある病院へ行く。

やけど虫の死骸にも有害物質の「ペデリン」が含まれるため、死んで動かなくなっても素手で触れてはいけません。蛾やハチ等の死骸も火ばさみやトングなどを活用するようにしてくださいね。

春から秋にかけて、玄関灯や街灯などの光に集まる様々な虫たち。やけど虫以外にも、蛾(ガ)、羽アリ、ユスリカカメムシ、ウンカ、ヨコバイチョウバエ、ブユ(ブヨ)…本当に色々な虫がやってくるので困ってしまいますよね。光に集まる夏の虫の対策には、玄関灯や家の外壁、あみ戸にスプレーするだけの虫ケア用品(殺虫剤)がおすすめです。また、飛ぶ虫に効果を発揮するエアゾールスプレーを常備しておくと、いざというときに役立ちますよ。危険な虫はもちろん、不快な虫も予防・駆除しておきましょう。

玄関灯に集まる不快な虫を予防・退治
玄関灯に集まる不快な虫を予防・退治

何度でも言いますが、やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)を見かけたら、絶対に触らないでください。つい触れてみたくなってしまう方もいるかもしれませんが、危険なのでやめましょう。触れてすぐに症状はでないかもしれませんが、数時間後、人によっては翌日になって肌が赤くなり、水疱(線状皮膚炎)ができてしまうことがあります。危険な夏の虫に注意して、快適な夏をお過ごしください。

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