
よく知っているようで知らないダニのこと。「刺されてもちょっとかゆいだけ」なんて思っていませんか? ダニは肉眼でほぼ見えないため、油断して対策を怠りがち。対策をしないままでいると繁殖して、一緒に住む家族の健康を害するかもしれません。正しい情報を知って、きちんと対策しましょう。
ダニは昆虫ではなくクモの仲間
世界中のいたるところに生息し、50万種いると考えられています。その大半が、目に見えないほど小さいのです。環境に適応する力が非常に高いうえ、特に温暖で多湿な人間の住む環境は、ダニにとって快適。繁殖に適する条件が重なると、なんと150万匹ものダニがいることもあるのです。
                ヒョウヒ
ダニ
                
                  種類:節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目
                  生息域:極域から熱帯まで世界全域
                  体長:0.09mm〜30mmまで
                
ダニは大繁殖する

ダニ(ヒョウヒダニ)は人のフケやアカ、汗などをエサとしており、どんな家にも必ず生息しています。中でも、高温多湿になる梅雨の季節から、爆発的に繁殖を始めます。

気温20~30℃、湿度50~80%の範囲で繁殖します。
(最適温度 25~28℃、最適湿度65~75%)
好条件が重なると、たった1組のつがいが2ヵ月で約3,000匹にも! 産み付けられた卵は1ヵ月ほどで成虫となり、次々に繁殖をしていきます。気温と湿気を気にする習慣をつけましょう。
全てのダニに当てはまる条件ではありません。
ダニは目に見えない
ダニの駆除が難しいのは、人間の目に見えないから。「ダニを見つけた」と思っても、他の虫と間違えている場合が多いのです。10倍程度に拡大して他の害虫と比較すると、その小ささがわかります
      
              ヒョウヒダニ類
- 体長
 - 0.2〜0.4 mm
 - 生息場所
 - カーペット・ソファ・寝具
 - 被害
 - アレルギーの原因
 
              コナダニ類
- 体長
 - 0.3〜0.8 mm
 - 生息場所
 - 畳・食品
 - 被害
 - 食品への加害
 
ダニはアレルギーの原因
室内にいるダニの80%以上はヒョウヒダニ
                - ヒョウヒダニ:80~90%
 - ツメダニ:4~5%
 - コナダニ:1~2%
 - その他
 
ダニはアレルギーの原因といわれています。ヒョウヒダニのアレルギーの陽性率(アレルギー検査で陽性を示す割合)は、80%以上となっています。
- ヤケヒョウヒダニ
 - ハウスダスト
 - ブタクサ花粉
 - スギ花粉
 
小児喘息の原因の50〜80%がダニアレルゲン
ダニの死骸やフンが細かい粉末となって体内に侵入すると、喘息、皮膚炎、鼻炎、結膜炎などのアレルギー性疾患を引き起こす可能性があります。
近年、住環境がよくなり、気密性の高い住宅が増えています。そのためダニにとっても住みやすく、以前より多くのダニが家庭内に蔓延していると言われています。
              ツメダニ類
- 体長
 - 0.2〜1.0 mm
 - 生息場所
 - 畳・カーペット
 - 被害
 - 人を刺す・痒み・刺咬性皮膚炎
 
              イエダニ
- 体長
 - 0.5〜1.0 mm
 - 生息場所
 - ネズミの体・巣
 - 被害
 - 吸血・伝染病・吸血性皮膚炎
 
皮膚炎の原因にもなる!
              ツメダニとイエダニは、人を刺します。刺された箇所から、皮膚炎を発症することも。
イエダニは通常ネズミに寄生していますが、ネズミが死ぬと寄生先を求めて人を吸血することがあります。ネズミの死骸を見つけたときや、ネズミを駆除したあとは、お部屋全体のダニ(イエダニ)もしっかり駆除しましょう。
正しいダニ対策を!
ダニは、人間にさまざまな被害をもたらします。日頃から適切な対策をしましょう。
しっかり掃除

                駆除した後、掃除機の使用を忘れずに。
                ダニの死骸やフンはアレルギーの原因。フケや髪の毛も残さず吸い取りましょう。
天日干しだけでなく、スプレーも! 掃除機も忘れずに使いましょう!
ダニのQ&A
- ダニは家のどこにいるの?
 - ダニは家の中でホコリがたまる場所には必ず生息しています。例えば、布団、枕、畳、カーペット、ぬいぐるみなど、ダニのエサとなる人間のフケやアカ、汗などが存在する場所。フローリングの床でもホコリが溜まるフローリングの継ぎ目、また畳もホコリが溜まりやすい畳のヘリにはダニが多く生息しています。
 - どうやってダニは家の中に入り込むの?
 - ダニは無翅(むし:羽が無い)なので、空を飛んで移動することはありません。ただし人間がソファ等のダニが生息する場所に接触した場合、衣類等に引っ付く可能性があります。ダニは人に運ばれて家の中に侵入することがあるのです。
 - ダニが食品に発生したという話があるけれど、発生の原因は?
 - でんぷんやタンパク質、旨み成分等を含むものに繁殖しやすいため、小麦粉やお好み焼き粉などで発生例が報告されています。さらに体長が非常に小さいため、開封した袋にわずかな隙間さえあれば侵入することができるので、密封や冷蔵保存等、注意して保管しましょう。
 - 畳の掃除のやり方はどうしたらいいの?
 - 掃除機がけをおすすめします。昔からある「お茶の出がらしや水を含ませた新聞紙を細かくし、畳にまいて掃除する」という方法はホコリがたちにくくなりますが、畳が湿気てしまい、ダニが繁殖する好条件(気温25°C湿度60% ※全てのダニに当てはまる条件ではありません。)につながりますのでおすすめできません。
 - どんな掃除機を使用すればいいの?
 - 吸引仕事率が200W以上の掃除機がおすすめです。
 - 掃除はどのくらいの間隔ですればいいの?
 - 少なくとも週に1〜2回はていねいに掃除機がけを行いましょう。1m²あたり20秒、6畳間なら3分間が目安になります。
 - 掃除機で吸い取ったダニは掃除機の中で増えるの?
 - 最近の吸引力の強い掃除機は吸い込むだけで、ほとんどのダニは死滅します。また、生き延びたダニがいたとしても掃除機の中で乾燥死します。
 - 掃除機以外で、ダニ対策におすすめの家電はあるの?
 - ダニは熱と乾燥に弱く、50°Cなら30分、60°Cなら一瞬で死滅します。体温の上昇と体の水分がなくなることで駆除することが可能。スチームアイロンや、衣類乾燥機(コインランドリー等の大型のもの)がおすすめです。また天日干しではダニの体温が上昇する前に、日の当たらない部分に逃げ込んでしまうため、駆除としては効率がよくありません。
 - 寝具のダニ駆除はどうすればいいの?
 - シーツ、枕カバーは週に1回洗濯しましょう。布団は丸洗いすることで、ダニアレルゲン(ダニの死骸やフン)を取り除くことができます。ただし晴れた日の天日干しは、湿気を取り除くことでダニが生息しにくい環境にはなりますが、生きたダニを全て死滅させることはできません。効率的にダニの駆除を行うためには、専用の駆除剤を使用しましょう。
 - ダニに刺されるとどうしてかゆみ・痛みを感じるの?
 - 室内ダニの中で人を刺すのは、主にツメダニとイエダニです。ツメダニは他のダニ等の体液を吸って生きています。ツメダニは他の昆虫を刺すときに唾液を注入しますが、人間を刺すときにも唾液を注入するので、これがアレルゲンになって炎症反応を起こし、かゆみや痛みを発生させます。ちなみに、人の皮膚表面からも体液を吸います。イエダニはネズミに寄生している吸血性のダニで、人間を刺した場合はネズミが持っていた感染症を媒介する可能性もあります。
 - ダニのフンもアレルギーの原因になるの?
 - ダニの死骸やフンが細かい粉末となって体内に侵入すると、喘息、皮膚炎、鼻炎、結膜炎などのアレルギー性疾患を引き起こす可能性があります。また、ダニは一生に500個のフンをすると言われており、掃除機がけなどを怠ったダニアレルゲンだらけの寝具だと、寝ている間にフンを吸い込んでしまうこともあります。
 
                
                
                
            
                